こんにちは、中川郁子(ゆうこ)です。
先週13日(火)、「加工原料乳生産者補給金単価(集送乳調整金を含む)」が決定されました。読者の方々から色々なご質問がありましたので、要点を絞って報告させていただきます。
最初に酪農経営の現状についてお話ししますと、コロナ感染症の影響により、乳製品の消費が低迷したことで、在庫過剰による生産抑制を余儀なくされたり、ウクライナなど国際情勢の影響を受け飼肥料価格などが高騰し、またそれらの要因が重なって子牛や廃用牛の価格が下がり、厳しい状況になっています。
この対策として、国は (1) 補正予算(早期リタイヤ、長期保管、粗飼料対策)で39億円、(2) 予備費(配合飼料対策、粗飼料利用拡大対策)で65億円の支援を行って来ました。
更なる対策として、(3) 酪農緊急パワーアップ事業(加工原料乳特別調整事業、早期乾乳対策、在庫低減対策、消費拡大対策)として46.8億円の追加支援を行ったうえで、(4) 加工原料乳生産者補給金単価を8.69円/Kgに決定しました。集送乳調整金と合わせて11.34円/kgとなり対前年差でプラス0.49円/Kgです。
質問された読者の方々からは、「北海道として5円アップを要求していたように思うけれど、どうなの?」と、尋ねられました。
実は、上述の(1) から(3) を足した合計は、国費が投入された金額としては150.8億円ですが、1Kg当たりの補給金に換算すると、今回決まった0.49円を足して5.06円となります。
生産を抑制しなければならない状況をつくったのは、もちろん酪農家ではありません。また、もう一産すれば搾乳できる牛を早期にリタイアさせてしまうことに戸惑いがあったり、心情的に大変な辛さを感じる方もたくさんいらっしゃることと思います。しかしながら、政府の提案した対策や、北海道庁が行なっている支援などを活用して、なんとか乗り切っていただきたいと強く思うのです。
他には、「それでも、年を越せない酪農家もあると耳にするがどうなの?」との質問がありました。
これについて政府は、離農対策として「つなぎ拠出金(最大79億円)」を追加で準備しました。これは、補正予算や予備費で行った対策の中で、2月や3月に支払われるまでの間、つなぎとなるお金を酪農家にお貸しする制度です。
また、「毎年、行っている生産基盤強化のための対策費はどうなの?」との質問もありました。
カーフハッチ、分娩カメラ、牛床マットなどの基盤強化や、ヘルパー対策、流通合理化対策や技術指導など、酪農生産基盤の強化のための総合対策については45.7億円となり、昨年と同額となっています。
長い説明となりましたが、ご不明な点がありましたら、お気軽に私あてにご連絡いただければと思います。
年の瀬の忙しい季節、ご自愛ください。
2022年 12月 20日
中川 郁子(ゆうこ)