vol.72 「新型コロナと歯科治療」について 大滝 達哉 先生(十勝歯科医師会会長、おおたき歯科 院長)に聞く ~ 中川郁子のメルマガ/中川ゆうこの“ゆうこう(有効・友好)便” ~

こんにちは、中川郁子(ゆうこ)です。

9月になりました。日増しに夜が長くなるので「夜長月(よながつき)」とも呼ばれていますが、ここ十勝の空も少しづつ高くなり、風のにおいや虫の声にもすっかり秋を感じるようになりました。

月とコスモスのイメージ写真

先週、自民党総裁選挙に不出馬を表明された菅総理大臣ですが、在任一年という短い期間に「不妊治療の助成、携帯電話料金の値下げ、脱炭素、デジタル庁創設」など、国民の暮らしに関わる政策を矢継ぎ早に実行されました。残された在任期間も「新型コロナウィルス対策」に全力投球されるものと私は思っています。

自由民主党の外観

先日、読者の方から「歯科治療に行きたいけれど、コロナ禍なので不安に感じている」とのご相談をいただきました。

「新型コロナと歯科医療」について、十勝歯科医師会会長の大滝達哉先生(おおたき歯科 院長)にお話を伺って参りました。

◇歯科医院を受診したいのですが、コロナ感染が心配!と言った声も聞かれますが…

大滝先生: 全国的に見ても、歯科医院でのコロナクラスターは1件も報告されていませんし、患者さんと診療者との間の感染報告もゼロなので安心して受診してください。むしろ歯科受診を控えることで、健康を損ねるケースもありますので、ひとつの例を紹介します。

ある高齢の患者さんは、年明けに入れ歯が壊れたのですが、ワクチン接種が終わらないと歯科治療には行きたくないと言って、8ヶ月もの間、柔らかいものばかりを食べていたそうなのですが、そのことが原因で体調不良になってしまいました。

口腔の不具合や病気を放置していると、大きな病気につながる危険性があります。お口の衰えから全身の衰えにならないようにすること(オーラルフレイルの予防)が必要ですね。

◇歯科医院の器具の滅菌などについて教えてください。

大滝先生: 歯科医院では、以前から「スタンダードプリコーション」という世界基準の感染予防策をとるように研修を受けていました。
また、8年前より外来の感染防止体制について定期的な研修届け出が定められています。
さらに、コロナが流行する前年からは、診療器具の滅菌に関する届け出が強化されていて、対応しないと初診料が引き下げられるようになりますので、ほぼすべての歯科医院が体制を整えていました。

コロナ流行により、さらに厳格な感染対策の指針が出されましたが、その下地があったので、ほとんどの歯科医院ではスムーズに対応できました。

◇歯科医院に来ないことによる影響について、もう少し詳しくお聞かせください。

大滝先生: 口腔とインフルエンザなどのウィルスの関連性はすでに証明されています。コロナウィルスも、口などから感染するので口腔内の免疫細胞を十分機能させるために口腔が綺麗でなくてはなりません。
また、歯周病と糖尿病は密接な関係があります。糖尿病の方はコロナの重症化リスクが高くなりますので、口腔ケアを怠ってはいけないのです。

◇コロナ禍で高齢の方が体調不良を訴えるケースが多くなっています。先程の「オーラルフレイルの予防」ついて、具体的に教えてください。

大滝先生: 自粛により人との会話や会食が少なくなり、口を使う機会が減りました。以前に比べほんの少しの会話がもたつく、電話で聞き返される、口が乾く、むせやすい、食事が美味しくないので嗜好が変わった、と言う方が増えています。
これらを総称して、口腔機能低下症(オーラルフレイル)と言いますが、放置すると重大な病気になったり、死亡のリスクが2倍高まると言われています。不安に思われる方は、かかりつけ医を受診していただきたいと思います。

◇歯科医から見るコロナ対策についてズバリお願いします。

大滝先生: 自粛一本槍だったメッセージの出し方に疑問を感じていて、自粛と同時に各自の免疫力を上げるメッセージを出し続けるべきだったと思います。

自粛で運動不足にならないように散歩をする、体操をする、笑う、話す、定期的な検診に行くことが体調悪化や鬱を防ぎ、健康寿命を伸ばすなど「免疫力を上げよう!」といったメッセージが足りなかったと思います。

歯科医師の立場としては「口腔ケアによってコロナに負けない免疫力を獲得しよう」と重ねて強調したいと思います。

◇ワクチン接種についてはいかがですか。

大滝先生: コロナ禍を終息させる一つの方法がワクチンであり、当初接種が進まないのはマンパワーが足りないからだとまことしやかに言われていました。今年の5月に超法規的措置として歯科医師による接種が認められました。十勝歯科医師会では会員対象に研修を行い50名以上の会員が受講し、現在までに40名以上が協力医として豊頃町(10回)、帯広市(50回予定)で接種に協力しています。

◇歯科の訪問診療について関心があります。また十勝歯科医師会の独自の取り組みとして、帯広コア専門学校歯科衛生士科創設がありました。教えていただけますか?

大滝先生: 国は2025年を目処に地域包括ケアシステムの構築を目指していますが、まだ体制は不十分だと思います。

来年春の診療報酬改定の検討が始まっていますが、いちばん議論されているのが歯科訪問診療のあり方、体制見直しであって歯科医師会でも多くの会員に参画、協力をお願いしたいと思います。
地域包括ケアを実現するためにはマンパワーが必要です。コア学園の歯科衛生士科のフレッシュなパワーに大いに期待しています。

中川郁子(ゆうこ)が十勝歯科医師会会長の大滝達哉先生(おおたき歯科 院長)と対談した際の写真

大滝先生には、お忙しいなか、分かりやすく説明して戴きました。「健康寿命を伸ばす」ためのフレイル予防の重要性、私も強く感じました。

私も積極的に応援したいと思います。

2021年 9月 6日
中川 郁子(ゆうこ)