こんにちは、中川郁子(ゆうこ)です。
先週もお伝えしましたが、9月に入り、わたしが住む帯広は、空もずいぶん高くなり、すっかりと秋の空気に包まれています。
夜、少し窓を開けていると「リー、リー」や「リリリーリ」と楽しそうな虫達の唄が聞こえ、まるで彼等の音楽会に招待されたかのような気分に心癒されます。秋というと読書の秋、食欲の秋、行楽の秋など、秋に繋がる言葉はたくさんありますが、読者の皆さまは何をしてお過ごしですか?
4日(水)、香川県三豊市に本社を構える「味のちぬや」をお訪ねし、工場見学をさせていただきました。そのきっかけは、ちょうど一年程前になりますが、地元十勝にある足寄町で留学生を受け入れた際に来町されていた「味のちぬや」会長の今津秀さんから、自社工場見学のお誘いをいただいたことにさかのぼるのですが、この度やっと実現する事が出来ました。
「味のちぬや」は、業務用ポテトコロッケの生産量で全国一として知られていて、看板商品の「むかしのコロッケ」は、お弁当などで一度は食べたことがある!と言う方も多いと思います。昭和30年代にお肉屋さんで売られていた、甘いコロッケを再現して大人気になった商品です。
コロッケの主原料は、馬鈴薯(じゃがいも)ですが、すべて北海道産が使用されています。
2016年8月、連続して北海道に台風が接近・上陸し、十勝にも多大な被害を与えました。その影響を受けてポテトチップスが品薄になったことは記憶に残っている方も多いと思います。北海道産の馬鈴薯(じゃがいも)を原料としてコロッケ製造されている、「味のちぬや」さんもこの時は大変なご苦労をされたそうです。
この経験を契機に原料の安定供給を目的として、2018年十勝足寄町に「北海道ちぬやファーム十勝足寄センター」が設立されました。同センターの開設にあたっては、J Aあしょろ(足寄町農業協同組合)の新津賀庸組合長が奔走され、今まで馬鈴薯を生産していなかった畑作農家にも働きかけて、足寄町や近隣の農家が三輪作から四輪作になり、農家所得の向上にも繋がり感謝されたという裏話もあるそうです。
前置きが少し長くなりましたが、本社工場では、北海道ちぬやファームと香川県三豊市の国内二拠点で、高品質のまま保管された馬鈴薯(じゃがいも)が、こだわりの選別工程を経て、蒸し、裏ごしされ、いったん真空冷却機で冷却されたのち、具炊きされ、スパイラルフリーザーで凍結し、パン粉をつけたのちに30メートル超の最新式のフライヤーで調理されていました。
社員の皆さんは笑顔で説明して下さいましたが、その笑顔からは、会社と製品に誇りを持っておられることが伝わって参りました。
足寄町で農家のみなさんが、丹精込めて作った馬鈴薯(じゃがいも)が、香川県の工場で大切にコロッケになる工程がとても嬉しくありがたい気持ちでいっぱいになりました。
「味のちぬや」創業者であり、現・代表取締役会長の今津秀さんが大切にしておられる理念は「新たな食の価値を創造し、喜ばれる商品を提供すること」です。この日も創業当時の思いやご苦労された歴史、未来への思いを熱く語ってくださいました。
わが国のもっとも大きな課題の一つが「食料安全保障」です。これからも「味のちぬや」さんと十勝のコラボレーションの輪が広がることを期待し、わたしも微力ながら応援させていただきたいと思います。
「味のちぬや」の皆さま、その節は本当にありがとうございました。またの再会を楽しみにしています。
味のちぬやHP → https://chinuya.com
2024年 9月 9日
中川 郁子(ゆうこ)
先週の活動