こんにちは、中川郁子(ゆうこ)です。
1月26日に召集された第213回通常国会も残すところ2か月余りとなり、国会では「重要広範議案」4本の審議が佳境を迎えています。
重要広範議案とは、法的な根拠のあるものではなく、永田町独特の用語で与野党の合意で最も重要と位置付けられるもので、総理大臣が本会議で答えたり、委員会に出席したりする特別な扱いをうける法案のことです。私が所属している衆議院の委員会でも、そのうちの次の2法案が審議されています。
第1.「子ども子育て支援法の一部を改正する法律案」(地方活性・こども・デジタル特別委員会)
第2.「食料・農業・農村基本法改正案」(農林水産委員会)
第1.については、少子化対策の柱である未来戦略「加速化プラン」の根拠となる法律で、次の9本の柱で構成されています。
1.児童手当の拡充
すべてのこどもの育ちを支える基礎的な経済支援として、所得制限を撤廃して高校3年生まで延長、第三子以降は3万円を支給
2.妊娠時から出産・子育てまで一貫支援
(1)妊娠届け時(5万円相当)
(2)出生届け時(5万円相当×こどもの数)
(3)伴奏型相談支援(様々な不安・悩みに応え、ニーズに応じた支援に繋げる)
3.出産育児一時金の引き上げ
42万円から50万円に引き上げ
4.子育て世帯への住宅支援
公営住宅への優先入居・フラット35の金利引き下げ(こどもの人数に応じて1%・5年間)
5.大学等の高等教育費の負担軽減を拡充
多子世帯の授業料無償化、修士段階の後払い制度、給付型奨学金の拡充
6.こども誰でも通園制度
保育園などに通っていないこどもや、住所地以外(里帰り出産など)でも月10時間まで柔軟に通園が可能な仕組みを26年から全国で実施
7.保育所・量の拡大から質の向上へ
(1)職員の配置改善
・(4・5歳児)30対1→25対1
・(1歳児)6対1→5対1
(2)放課後児童クラブも配置改善
8.貧困・虐待防止、障害児・医療的ケア児への支援強化、児童扶養手当(ひとり親家庭への支援)の拡充
9. 時短勤務時の新たな給付
男女で育休を取得することを推進するため、給付率を手取り10割相当とする
陳情や挨拶まわりをしている時など、いろいろなご意見をいただいています。出生数からも明らかなように日本の人口減少は深刻な問題であって、将来に大きな不安を抱いているのではないかと思います。
家族の形態や価値観が大きく変化している現在、すべてのこどもの育ちを社会全体で支えることや男女の育児休暇取得推進など、「ともばたらき」と「ともそだて」が両立する社会を形成して行くことを、今、はじめなければならないと思っています。
第2.については、25年ぶりに改正される農業の憲法といっても過言ではない、食料・農業・農村基本法の改正案です。
日本は人口が減少していますが、世界人口は増え続けて2050年代には100億人を超えるであろうと言われています。その中で、日本のカロリーベースの食料自給率は38.0%と低いままで、農業を主たる仕事とする「基幹的農業従事者」は、現在の123万人から20年後には30万人に減少すると言われています。
また、過疎地などではスーパーや食料品店が撤退・減少し、すべての人々が食料品にアクセスできる仕組みが必要となっていますし、農業資材の価格が高騰する中、流通→小売→消費者といったシステム全体で合理的な価格を決定して行くことも重要です。そして、農業従事者の所得の向上と安定も重要なことで、A Iを活用した農業機械の利用促進を目指すスマート農業の確立が急がれます。
それらを網羅する基本法を作成し、5年毎に作られる基本計画に反映します。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=411AC0000000106_20230526_504AC0000000055
ここまでが、いま議論されているところですが、私はさらに「食品ロスの削減」についても推進していく必要があると思います。
2000年の食品ロスは980万トン、この時の内訳は家庭系ロスが433万トン、事業系ロスが547万トンでした。これを2030年までに489万トンまで半減させることを目標としています。
2015年~2019年の平均値は、614万トン(家庭系ロスが280万トン、事業系ロスが334万トン)に削減されています。
これから6年間で489万トン(家庭系ロスを216万トン、事業系ロスを273万トン)まで削減するためには更なる努力が必要とされます。
具体的には、次のとおりで
(1) 食品製造業については、既に目標を95パーセント達成しています。
(2) 食品卸売業・小売業については、1/3ルールなどの商慣習(賞味期限が1/3過ぎると卸さない、2/3過ぎると店頭に置かない)を見直すことで改善の余地があります。
(3) 消費者は、フードバンクやフードドライブ(賞味期限があるうちに災害や貧困等により食べものの支援が必要な人に提供する)などで、改善の余地があると思います。
(4) 外食産業は、店内での食べ残しのうち「調理加工品」だけでも、消費者が自己責任で持ち帰れば約20万トンが削減される計算になります。
ところが、 (3) と (4) については食品衛生上の事故が生じた場合の法的責任が整理されていません。
これらについて諸外国の制度を調べると様々ですが、食品廃棄に厳しい罰則を規定するなど、日本よりもフードロスについて厳格である国が多いようです。
週末は、地元(浦幌町、新得町)で挨拶まわりに伺いました。道東地域もすっかり雪が消えて暖かい日差しに包まれ、みなさん笑顔で迎えて下さいました。
本日15日(月)は、札幌市内で農林水産委員会の地方公聴会に出席します。本日中に東京に戻り、明日からは委員会と本会議の審議が毎日続きます。
今週も元気に頑張ります。
2024年 4月 15日
中川 郁子(ゆうこ)